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【がん患者と看護師の接し方】コミュニケーションは必須のスキルなの?

がん患者と看護師にはコミュニケーションは必要です。特にがん領域となると様々な告知が必要となり、看護師と患者とのコミュニケーションは必須となってきます。がん告知を受けた患者を看護するのも看護師の役割です。緩和ケアや適切なコミュニケーションを看護師は取る必要があります。がん患者と看護師の接し方についてご紹介します。

2018年01月20日

はじめに

キューブラー・ロスの「死の受容五段階モデル」は看護師ならば一度は必ず勉強しますね。

否認・怒り・取引・抑鬱・受容と、死に向かうがん患者の心理段階を示すモデルです。

本当にこのような過程を辿るかはさておき、長期におよぶ治療を受けるがん患者は、危機的な心理状態を抱えています。

今回は、そんながん患者との接し方やコミュニケーションについてご紹介します。

がん患者と看護師のコミュニケーションはどんな方法が必要なのでしょうか。

がん患者の抱えるストレスを解消するコミュニケーション方法

がん患者は診断がついてから、もしくは診断の前から強いストレスを抱えています。

先ほど述べたキューブラー・ロスの「死の受容五段階モデル」にもあるように、否認や怒り、抑鬱など、強い感情に揺さぶられることは事実です。

特に日本人は無宗教の人が多いため、信仰の対象のある海外の人に比べるとこのようなストレスに弱いと言われています。

具体的なストレスの内容は

  • 悪性疾患(がん)に直面したショック
  • がん治療への不安
  • 身体機能の喪失、ボディイメージの変化へのショック(手術療法の場合)
  • 人生設計や生活の変更や変化
  • 社会的関係性の変化
  • 死への恐怖

などが挙げられます。

これまで当然のように歩いてきた道(人生)が突然断絶されたような衝撃を受けるのです。

そして治療が長期になればなるほど、患者の不安・希望・絶望といった感情がその日によって揺れ動き、また病状とともに一進一退を繰り返します。

では、そのような危機的心理状態の患者に対し、私たち看護師はどのような対応をしていくべきなのでしょうか。

患者の不安や恐怖を無くすためのコミュニケーション

患者が治療中に最も多くみられるのは、やはり不安や恐怖といった感情でしょう。

感情の表出の仕方にはもちろん個人差がありますが、そういった感情の変化を見逃さないことは重要です。

患者が不安や恐怖を訴えた場合、看護師はまずはその感情の根源がなんであるのかを探る必要があります。

看護師のコミュニケーション方法

  • まずは傾聴すること
  • 患者の感情の根源がなんであるか探ることができたら、その気持ちを受け止めること(患者に受け止めたことを伝える)
  • その場で患者が求めている情報、その場に適していると考えられる情報を提供すること(過度な情報提供はしない)
  • 患者の反応を観察し、不安や恐怖が軽減しているならば情報提供を続け、そうでない場合は情報提供はやめる


患者とのコミュニケーションのなかで上記のポイントを踏まえながら接することで、患者の感情の正体を理解し、不安や恐怖を和らげることに繋がります。

また不安や恐怖は心理的なものだけでなく、身体症状によって出現することもあります。

その場合はまずは症状緩和を最優先にし、対処したうえでそばに付き添い、声掛けやタッチングを行いましょう。

まれに不安や恐怖から「否認」の感情を強く表出する患者もいます。

否認とは、現実を直視することができずに「そんなはずはない」「なにかの間違いだろう」などといった反応で、ときに医療者へ「嘘をついているのでは」と攻撃的に出たり、「治療は必要ない」と拒否する行動に出たりします。

しかし「否認」は患者を衝撃的な現実からダメージを受けないよう守る機能を果たしています。

無理に訂正や否定をするのではなく、患者が現実を受け止めるための心理的な準備が整うまでは見守ることが大切です。

ただ過度にその状態が長引くと、患者の治療を困難にさせたり孤立させたりと、悪い状況を招く原因になります。

患者の状況に応じて真実を伝えていき、受け止めることの難しさに理解を示すことが、改善の糸口となります。

コミュニケーションを通した看護師の役割

コミュニケーションは患者の不安を和らげるだけでなく、感情や治療に対する希望を知ること、情報を提供して治療に対するコンプライアンスを維持向上することにも繋がります。

患者自身ががんという疾患を受容し意思決定することは、患者ががんとともに生きることへの第一歩で、それが仕事の役割とも言えるでしょう。

がんに振り回されるのではなく、がんも自分の人生の一部だと認め、そのなかで自分らしくあるにはどうすればいいのかを模索することが、自身を癒す力にもなります。

揺れ動きながらも進もうとする患者の支援は、医療チームとして看護師も治療に参加しているという意志や、患者の感情や希望を受け止める準備があることを伝えることから始まります。

コミュニケーションを通して、がん患者が自分らしく生きることを支援することが看護師の最大の役割といえるかもしれません。

最後に

感情の揺れ動く患者と接することはとても難しいことですが、看護師であるからこそ専門的な視点でコミュニケーションをとることが大切であるといえます。

がん治療に限らず、患者という存在はいつでも不安を抱えています。

ポイントを踏まえながら積極的にコミュニケーションをとって、患者の看護や支援に役立てていきましょう。

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